『ALWAYS 三丁目の夕日』レビュー:古き良き時代のジャパニーズ グラフィティ

映画・ドラマレビュー
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作品概要

『ALWAYS 三丁目の夕日』は西岸良平の漫画『三丁目の夕日』を原作に、高度経済成長期の人々を描いた映画。

監督は『永遠の0』や『ゴジラ-1.0』などを手掛けた山崎貴。完成度の高いCG(コンピュータ・グラフィックス)やミニチュアを駆使し、当時の街並みをノスタルジーたっぷりに再現しています。

また今作は「第29回日本アカデミー賞」の最優秀作品賞、最優秀監督賞など、主な賞を総嘗めとした平成の名作として幅広い世代から支持されました。

主なキャスト・スタッフ

  • 茶川竜之介:吉岡秀隆
  • 鈴木則文:堤真一
  • 鈴木トモエ:薬師丸ひろ子
  • 鈴木一平:小清水一揮
  • 星野六子:堀北真希
  • 石崎ヒロミ:小雪
  • 古行淳之介:須賀健太

 

  • 監督・脚本・VFX:山崎貴
  • 原作:西岸良平
  • 配給:東宝
  • 上映時間:133分
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あらすじ

昭和33年、日本は戦後の復興から高度経済成長期を迎えて上り調子の世相を呈していた。しかし、その一方では復興の波に乗れず貧困に苦しむ人たちも多く、まだ戦争の爪痕が深く残っていた時代でもある。

戦地から生還した鈴木則文は自動車修理工場を開き、将来は自動車メーカーになることを夢見ていた。その向かいでほそぼそと駄菓子屋を営む茶川竜之介は純文学作家として生計を立てることを目指すも、今は少年誌に冒険小説を書きながら糊口をしのぐ日々を送っている。

そんな二人にそれぞれ新しい家族が加わり、悲喜こもごもの生活が始まった。

感想・考察(ネタバレあり)

久しぶりに『ALWAYS 三丁目の夕日』を観たいなぁと思っていたら、Amazon Prime Videoでタイミングよく無料配信されたので、さっそくレビュってみます。

本作は戦後から13年経った昭和33年の東京が舞台ですが、そこに映る街並みには高層ビルもなく、行き交う自動車もまばら。まるで地方の田舎町のようなのどかさを感じます。

そこに描かれている人々は良くも悪くも近所付き合いが濃厚で、落語に出てくる長屋のような光景です。他人同士があけすけに本音でぶつかりあう様子が、ギスギスした今を生きる人の心を打つのかもしれません。

とは言え、そこは映画としてか〜な〜り誇張された演出でしょう。

当時でもある程度のプライバシーや他人との距離感はあったでしょう。また、復興の波にうまく乗れた人がいれば、ワイプアウトした人も多かったはず。そうした勝ち組を「鈴木オート」家、負け組を茶川・淳之介・ヒロミの疑似家族が担っています。

スズキオートの一人息子・一平や茶川が引き取った淳之介たちは、後に「団塊の世代」と呼ばれるようになりました。今作はその世代の人たちが主なターゲットですが、劇場には意外と若い人たちも足を運んだそうです。団塊の世代はノスタルジーを感じ、若い世代には日本に希望があった時代が珍しかったのかもしれません。

夢も希望もない時代だからの大ヒット!

今作が公開されたのは2005年ですから、もう20年も昔のことになりました。しかし、当時はすでに平成不況にどっぷり突入。明日の見えない時代には、自然と活気に満ちた昭和を懐かしむ気持ちが人々の心に芽生えていたんでしょうね。

アメリカでも今シリーズと同じ1950年代の半ばから60年代前半を「オールデイズ」と呼んで懐かしがり、ジョージ・ルーカス監督の映画『アメリカン・グラフィティ』がそうした時代の若者たちをうまく描いていました。

しかし、そんな闇も明るく照らしてしまう勢いが当時の日本にはあったんでしょう。頑張れば、きっとなんとかなる! そんな希望が持てた当時を知る人たちのノスタルジーを掻き立て、若い世代には憧れさえ感じさせる、涙あり笑いありの人情劇。そうした意味で今作は「ジャパニーズ・グラフィティ」とも呼べそうな作品です。
劇中では一平が空高く飛ばした模型飛行機や、建設中の東京タワーが戦後の復興を象徴し、鈴木家が電気冷蔵庫やテレビを買うところは日本人の暮らしがどんどん豊かになっていく様子が描かれています。
あの頃からすれば、今の時代は“一見すると”ものすごく豊かに見えるかもしれません。テレビはカラーの大画面だし、冷蔵庫や洗濯機はあってあたりまえ。道路には自動車が溢れ、スーパーには大量の商品が揃っています。
でも、ぼくたちは今の時代を豊かだとは思えないし、明日への希望があるとも思えない。むしろ、これからの日本はどんどん落ちぶれていく「衰退途上国」としか思えないんじゃないでしょうか?
同じ夕日でも、今は「バカヤロー!」と叫びたくなる夕日が悲しいです。