2023年10月から始まったNHK朝ドラ『ブギウギ』は、戦後「ブギの女王」と呼ばれた笠置シヅ子がモデル、なんてことは言われなくてもご存知ですね。
彼女のヒット曲に『買い物ブギ』という曲がありますが、この曲をパロディーしたのが1975年に発売されたダウンタウンブギウギバンドの『賣物ブギ 』です。
まずは笠置シヅ子の『買い物ブギ』から聞いてみましょう。
この曲が発売されたのは1950年。戦後からまだ5年しか経っていないころですから、ブギの軽快なリズムとユーモアのある歌詞は、敗戦に打ちひしがれ、それでも復興にちからを尽くした人々の気持ちを明るく照らしてくれたのかもしれません。
それから高度経済成長期も終わった25年後に発売されたダウンタウンブギウギバンドの『賣物ブギ 』。もちろん笠置シヅ子の『買い物ブギ』をパロった曲だというのは一聴瞭然です。
単調な曲の合間にぶち込まれた珠玉のギターソロ!
じつはこの記事のほんとうの目的は『賣物ブギ 』のA面だった『商品には手を出すな』という曲の紹介です。そのために笠置シヅ子の『買い物ブギ』から入って、ここまで引っ張りました。
きっとあなたは、NHKの連ドラ「ブギウギ」の検索からここへ流れ着いたんじゃないでしょうか? だとしたら、作戦成功です。よければ、もう少しお付き合いください。
ダウンタウンブギウギバンドには、曲というよりセリフのおもしろさでヒットした『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』がありました。「あんた、あのこのなんなのか」というフレーズが流行語になっています。
『商品には手を出すな』も同じパターンの曲で、ほとんど延々と語りが続きます。だから「なんだ、またか」と冷めた気持ちで聴き始めました。
歌詞の内容は、アイドルがどんどん売れっ子になるにつれてスキャンダルのもみ消しに追われる芸能マネージャーの気持ちを歌っています。
宇崎竜童さんはダウンタウンブギウギバンドでデビューするまえに松崎しげるなどのマネージャーをしていたことがあるので、この曲はそんな実体験から生まれたものかもしれません。
とは言え、この曲は退屈でしかありません。ただし、ギターソロを除いては。
単調な曲の間奏に入れられた、1分40秒からのギターソロに注目してください。こんなつまらない曲に絶品のギターソロをぶち込んだ和田静男というギタリストの非凡なセンスが光っています。
どうすか? めっちゃカッコいいギターソロじゃないですか?
え、全然わかんね?
そうですか。
帰れ!
ま、今どきの若い人はギターソロなんて聴かないって言いますから、ムリにわかれと言うつもりはありません。しかし、まだ当時20代だった和田静男さんのセンスの良さ。これこそ、まさに「ギターが歌ってる」ソロの見本のような名演です。
小学生だったぼくは、何度もレコードプレイヤーの針をギターソロめがけて落としては繰り返し聴き入ったものでした。
以前に開設していたブログで「和田静男さんがルーツです」と書いたことがありましたが、小学生から中学生までにダウンタウンブギウギバンドを聴きまくったことが、その後にぼくがブルースやハードロックにハマり、自分でもギターを弾くようになったきっかけになったのは間違いありません。
いや~、いま聴いてもいいギターソロです。