今日(2023年10月13日)のYahoo! Japanにあった対照的な2つの記事が気になりました。1つは51歳の男性がスマホで日雇い仕事をしながら、なんとか極貧生活を凌いでいるという記事。
この男性、以前は腕のいい整体師として自分の店をもって頑張っていたそうです。しかし、お客さんのためにと頑張りすぎたのが仇となって体を壊し廃業。あとには数百万円の借金が残り、奥さんとも離婚されたそうです。
もう1つは経団連が社会保障制度の維持を理由に、消費税の税率を上げる提言をまとめたという記事。
ここでちょっと、経団連という集団が何者なのか確認してみましょう。
経団連は、日本の代表的な企業1,512社、製造業やサービス業等の主要な業種別全国団体107団体、地方別経済団体47団体などから構成されています(2023年4月1日現在)。
その使命は、総合経済団体として、企業と企業を支える個人や地域の活力を引き出し、日本経済の自律的な発展と国民生活の向上に寄与することにあります。
経団連とは | 経団連について | 一般社団法人 日本経済団体連合会 / Keidanren
要するに、大企業中心に組織された団体ということのようです。役職者の名前を見ても、日本を代表する誰でも知っているような「一流企業」のお歴々がズラズラとお並びになっています。
で、彼らの使命は「日本経済の自律的な発展と国民生活の向上に寄与すること」だそうです。
えっ? すいません、もう一度言ってもらえますか?
はい。「国民生活の向上に寄与すること」です。キリッ
えっ? すいません、もう一度言ってもらえますか?
だ~か~ら~、「国民生活の向上に寄与すること」だっつってんだろがぁぁぁぁ!
そんな経団連が、どうして消費税を上げろと政府に求めるんでしょう?
熱を出して寝込んでいる人に「風邪に負けない体づくりをしろ」と言って、むりやり寒風の吹きすさぶ中を走らせるようなものじゃないでしょうか。
言ってることと、やっていることがパーフェクトに矛盾してますよね。
消費税が上がると消費が落ち込む。
消費が落ち込むとモノやサービスが売れない。
売れないと、ますます景気が悪くなる。
景気が悪いと企業も儲からなくなる。
だから消費税を上げろ!
もう、意味わかんねぇ……と思うのがまともな庶民感覚じゃないでしょうか?
でも、そのカラクリはこうです。
サラリーマンの方々は、毎月の給料から健康保険と厚生年金が天引きされてますね。たしかに痛い金額ですが、じつは企業もみなさんと同じ金額を負担しています。つまり、掛け金が2倍になっています。
もちろん企業にとって社会保険料の負担はコストですから、これ以上払いたくありません。だから社会保険料の財源として消費税を上げろと主張しているわけです。
でもね、それより下げ過ぎた法人税率を引き上げるほうが先だろ? と、ぼくは思うんです。
消費税は法人税を引き下げるために生まれた税制だというのは、このブログでも指摘したとおりです。
自分たちが法人税を払いたくないから、そのぶんを消費税で国民どもに払わせろ?
社会保険料もこれ以上払いたくないから消費税を上げろ?
なにが「国民生活の向上に寄与する」だボケ! どのクチで言ってんじゃアホ!
こうした一流企業や大企業でも、末端の現場では多くの非正規労働者が安い時給で、理不尽な目にあいながら、なんとかやっとの思いで生きています。
そんな彼ら・彼女らからピンハネした利益から自分たちの高い給料を受け取ったり、株主様に「はは~っ」と上納したり。それだけじゃ飽き足らず、俺たちが損しないように国民全員で負担しろですと。
まるで天上から下界を見下すような態度ですね。
こうしたエリート意識丸出しな大企業の経営者や、お受験エリートのバカ官僚たち、そして財務省の顔色をうかがってばかりの政治屋たち。
こういう上級国民が日本人を分断し、この国を内側から破壊していくんですね。これじゃ、中国もロシアも、今から日本を攻める必要はありません。黙っていても日本は自滅するんですから。
ぼくは共産主義者じゃないけど、労働者は一致団結して資本家たちをぶっ〇せ! と言ったマルクスの主張は残念ながら叶いません。なぜなら、労働者階級の中でも分断があるから。
正社員の中でも役職とかの身分差はありますが、その下にはさらにパートやアルバイトなどの非正規労働者がいます。そんな正社員たちは、非正規労働者を自分たちとは違う人種としか見ません。
とくに大企業の系列会社ほど正社員の非正規労働者に対する差別意識が強いのは、ぼくも過去にイヤってほど経験しています。
こうして誰もが自分を守ることに精一杯の国は、遅かれ早かれ滅んでいくんだろうなと思います。