『東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった!』で学ぶ経済学復習コーナー。
今回のCHAPTER2-2では、おカネはどうやって世の中に出回っていくのか、税金とは何か? についてです。
税金は予算の財源ではない?
前回では100人のヒトたちが暮らす島の政府が「エン」というおカネを作って島民たちに配り、毎年「エン」で税金を納めるように決めました。これで「エン」というおカネに通貨としての価値が与えられたことになります。
ここで大切なポイントは、最初に政府がおカネを島民に配ったところ。
それまで通貨がなかった島に「エン」という通貨を流通させるには、まず先に政府が「エン」を島民に配らないとなりません。
ということは、税金は政府の財源ではないことになります。
「バカ言ってんじゃねえよ。税金を集めるから、国は予算を組めるんだろうが」と言いたくなるのは当然です。
しかし明治政府ができたときって、どこから「円」を持ってきたんでしょうか?
国民から税金が入ってくるのは約1年後ですから、税収を待っていたら明治政府はそれまで何もできません。
明治政府も最初は日本銀行に「円」を刷らせ、それで公務員の給料を払ったり公共事業費を払ったりして世の中に「円」を流通させました。税収を集めてから国の予算を組んだわけじゃありません。
じゃあ、税金ってなんのためにあるの? となりますね。
税金の3つの役割
1. 通貨におカネとしての価値を与える
いくら政府でも、紙に「エン」と印刷しただけでは通貨としての価値は生まれません。この状態では「楽天ポイント」や「Amazon ギフト券」と同じです。
しかし、毎年必ず「エン」で税金を納めろ。さもないと逮捕しちゃうぞ! ということにすれば、島民はみんな「エン」を確保しなければならず、自然と「エン」が島の中に流通していきます。
2.島民の行動をコントロールする
健康に悪いタバコを吸ったり、燃費の悪い古い自動車に乗り続けたりするヒトからは高い税金をとって、禁煙させたりエコカーに買い替えを促したりします。その代わり、エコカーを買うときには税金を安くしてあげるなど優遇します。
3.偏り過ぎた所得格差のバランスをとる
おカネがおカネを産むというように、おカネ持ちにはドンドンおカネが集まるようになっています。すると、貧乏な人との経済格差もドンドン開いていき、社会的な不公平が大きくなってしまいます。
そこで、おカネ持ちには税金を多く収めてもらったり、貧乏な人からはあまり税金を取らないようにします。
ということで、CAPTER 2-2はここまで。
日本政府って、税の本質をガン無視してるよね?
※ここからは本書の内容ではありません。
税金は財源じゃない! という衝撃の事実に驚いた人もいるでしょうが、これって、だんだんバレてきてますよね。
毎年、次年度の予算が決まるたびに「国債の発行額が〇〇億円も増加」とかテレビで騒ぎますが、「だからどした?」と突っ込む人たちは少しずつ増えています。
しかし、ワイドショーの言うことを鵜呑みにしている人たちは「国民一人あたりの借金が1000万円に」という戯れ事を、まだ信じてしまいます。
ところで、今回出てきた「税の3つの役割」ですが、これも実際とはずいぶん違いますね。「1. 通貨におカネとしての価値を与える」まではいいですが、「2.島民の行動をコントロールする」から、ちょっとおかしいところが出てきます。
例にも挙げたエコカー減税ですが、燃費のいい新車に買い替えられるのは、それだけのおカネを持っている人たちですよね。古いクルマに乗り続けるしかない、おいちゃんのような貧乏人からは、ペナルティーとして高い自動車税をとっています。これって、おかしくないですか?
それなら、排気量が2000cc以上のクルマには、もっと高い自動車税をかけたらいいんじゃないでしょうか。世の中には3000ccとか4000ccもあるクルマがざらに走ってます。日本を走る乗用車に、そんな大排気量が必要なはずはないので、たんなる見栄ですよね。
だったら、もっと見栄を張れるように20万円くらいの自動車税を毎年とってあげるほうが公平な税の負担じゃないでしょうか。「オレはこんなに維持費の高いクルマを乗り回せるんだぞ」と大威張りできるようにしてあげるほうが親切です。
それからタバコ税も、いい加減にしたらどうでしょうか?
ボク自身はタバコをやめて20年くらい経つので関係ありませんが、それでもタバコ1箱が500円以上するのには驚きます。昔はさんざんタバコを吸えと宣伝していたのに、ニコチン中毒にしてから高い税金を取り続けるなんてのは鬼畜の所業です。
「3.偏り過ぎた所得格差のバランスをとる」も、まったく機能してませんね。
日本の所得税がもっとも高かったのは1974年〜1984年までの10年間。年収8000万円の所得税率は最高で75%! 逆にもっとも所得税が安かったのは1999年~2007年までで、年収1800万円以上で37%と、ずいぶんお安くなっています。そして2023年時点では年収4000万円以上で45%です。
ちなみに2023年時点では年収1,949,000円以下の人にも5%の所得税がかかり、最大97,450円も払わなければなりません。これに年金や健康保険料も払ったら生きていけませんね。
また消費税は「生きることへのペナルティー」とも言われます。なぜなら、生きるために必要な食料品にも課税されているからです。
軽減税率で8%に抑えていると言っても、「あっ、てめえコメ喰いやがったな。8%だぁ!」、赤ちゃんの粉ミルクにも「このガキ、育ってんじゃねえよ。オラぁ、8%だ!」
もう、鬼畜を通り越してますよね。
よく、海外の消費税は20%以上なんだから日本はまだ安いと言いますが、高税率な国々は高福祉でもあります。税金が高くても安心して生きていけるなら、誰だって喜んで払います。
でも日本は、国民の生活など知ったこっちゃないという財務省が自分たちの権力を増やすために、ひたすら増税を目論んでいます。「財務省栄えて国滅ぶ」なんて、本末転倒になりそうです。
もうこれ以上、財務省に好き勝手させないためには、「痛みを伴う改革だぁ」とかほざいている政治家や候補者は、きちんと落としてやらないとダメですね。