おいちゃんが『東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった!』(ムギタロー著 サンクチュアリ出版)で学ぶ経済学復習コーナー。
今回のCHAPTER2-7は、自国通貨を発行できる国に国債を返せなくなる心配はないという話を、2010年に起こったギリシアの財政危機を例にして説明しています。
自国建て通貨で発行した国債を返せなくなることはない
かつてギリシアは「ドラクマ」という自国通貨をもち、国債も自国通貨建てで発行していました。ところがEUというヨーロッパ諸国が集まって作った経済圏に加入すると、自国通貨のドラクマを捨ててEUの共通通貨「ユーロ」を使うことになりました。
しかし政権交代を機に、巨額の財政赤字が発覚。ドラクマという自国通貨を捨ててしまったギリシアは自国通貨を発行して返済できないので、一気に財政破綻の危機となりました。結果的には大幅な財政再建と引き換えにIMF(国際通貨基金)やEUからの財政支援で最悪の事態は免れています。
ギリシア危機が騒がれていたころ、「日本もギリシアのように財政破綻する」と言う人たちがいましたが、日本国債は円という自国通貨建てで発行しているので、日本銀行が円を作って国債を買い取ることができます。
そこが自国通貨を捨ててしまったギリシアと、自国通貨の発行権をもっている日本との根本的な違いです。
自国通貨を捨ててしまったギリシアは、なんとかやりくりしながら国家の運営をしなければなりません。民間企業や家庭と同じ理屈です。そのため、ギリシア国民は多大な負担を強いられることになり、メデタシメデタシとはいかなかったようです。
また国債についての表現におかしな部分が
以前に本書のCHAPTER2-4に書かれた国債の説明がわかりにくいと指摘しましたが、このCHAPTER2-7でも読者を混乱させてくれます。
2-4では国債の説明として、こう書かれていました。
一方、エン印刷係は、しばらく経つと約100万エンを発行して、住民から「そのうち105万エンと交換できる券(国債)を約100万エンで買い取ります。
どうして「105万エンと交換できる券(国債)」を約100万エンで買い取るのか? ところが、この2-7ではこう書かれています。
いーゆー諸島の各政府は、大変なやりくりをして、自分の発行した国債(そのうち105ゆーろにして返す券)をちゃんと現金105ゆーろにして返すことになりました。
じゃあ、なんで2-4ではちゃんと105万エンにして返さなかったのか? なんで、こんなおかしな説明に監修者も編集者も気づかなかったのかと不思議です。入門書でこれじゃあねぇ。
「財政の健全化」という財務省の大ウソ
ここからは本書とは関係のない話です。
「日本は国債を減らさないと財政破綻する」とか「将来世代にツケを回すな」と言っている人たちは今でもたくさんいます。ワイドショーに出ているアホなコメンテーターだけじゃなく、政治家にもそういう財政緊縮派とよばれる人がウヨウヨいます。
もちろん、無節操に円を刷りまくればいいというわけじゃありません。しかし日本の国債を欲しがる人はたくさんいますし、予算に必要な額はしっかり国債を発行すればいいと思います。
なぜなら、政府の赤字は国民の黒字です。今の日本はおカネが無くて困っている人たちが大勢います。その原因は、政府が国民におカネを回してくれないからです。むしろ、増税や社会保険料の増額で、政府は国民からおカネを巻き上げようとしています。
その政府を陰で操っているのが財務省だと言われます。なぜ財務省は政治家を使って国民からおカネを巻き上げるのか? それは財務省が自分たちの権力を守りたいから。
財務省は予算を握っているので、政治家も他の省庁も財務省には頭が上がりません。このため財務省は「省庁のなかの省庁」とも呼ばれています。「キング オブ 省庁」ですから、財務省にとって文科省とか厚労省などは平民のごとき扱いですね。ましてや政治家も国民も、財務省の官僚たちにとっては虫けら同然かもしれません。
財務省の官僚たちは、日本のためでもなく政府のためでもなく、自分たちが権力をふるいたいだけです。そのために財務省はいろんな理由をつけて国民をだましながらおカネを巻き上げています。これだけ国民が物価高に困っているのに、消費税を下げようとはこれっぽっちも思いません。
それどころか、財務省は岸田政権を使ってインボイス制度という実質的な消費増税を実施しました。これは更なる増税への布石とも言われています。
もうここまでくると財務省は「悪の組織」「国賊」としか言いようがありません。一部のネット世界では財務省ではなく「罪務省」と呼ばれるのも納得です。
いい加減わたしたち国民は、財務省やその手先と成り下がっている政治家たちの欺瞞に気づかないと、もうやり直せない状況に追い込まれてしまいそうです。