CHAPTER 1-4 ルールとお金を作ろう
100人のヒトたちが暮らす島。そこでは食料やモノ、サービスをどうやって分けるか、誰がその仕事をするのかを決める方法に悩んでいました。
そこで島のヒトたちは「国」というシステムを作り、島のルールや交換手段としてのおカネを取り入れることに決めました。
国に必要なものと言えば「国のルール」、つまり憲法ですね。憲法は、その国のいちばん基本的な法律。この国はどんな国か、誰にどんな権力があるか、権利や義務はどうなっているか、等々を決めています。
憲法はわりと理念的というかザックリした内容なので、実際にはもう少し細かいことを決める必要があります。それが「住民のルール」となる法律です。
島民たちは「憲法」を定め、それに従っていろんな「法律」も作りました。これでこの島は「法治国家」としてのカタチができました。
さらに島民たちは「おカネ」というアイテムを取り入れました。「おカネ」があれば食料とモノ、サービスを簡単に交換できるようになります。※本書では「お金」となっています。
こうして100人のヒトたちが暮らす島では、ルールとおカネによってモノやサービスの分配や、誰がどんな仕事をするかという役割分担の問題が解決しました。
これで「めでたし、めでたし」と言われても「ほんとう?」って思いますよね。そう簡単にいくかよって。とくにどんな仕事に就くかはおカネにも関わることですから、キツイ・キタナイ・キケンな「3K労働」は誰もやりたがりません。
でも本書では、おカネがこの問題を解決してくれるといいます。
誰もやりたくない仕事は人手不足になります。それでも誰かにやってほしければ、おカネをたくさん払わなければなりません。つまり高給優遇です。
そうすると、「キツイけど、たくさん稼げるなるならやってもいいな」というヒトが出てきます。そういうヒトたちがドンドン集まってくれば、自然に人手不足は解消されます。
また、もっといいモノやサービスを提供しておカネを稼ごうと思うヒトたちが増えると、島全体のモノやサービスの質が高くなっていきます。
こうして国とルールとおカネを取り入れた島は、モノやサービスの分配と仕事の役割分担がスムーズにできるようになりました。
CHAPTER 1-4の内容は、だいたいこんな感じです。
国籍とか主権とか領土とかについて調べてみた
ここからは本書にはないけれど、自分でちょっと調べてみたことになります。
CHAPTER 1-4では「国」という言葉が出てきましたが、じゃあ「国」の定義ってなに?
日本語では「故郷」って書いて「くに」と言うこともあるし、「州」と書いて「くに」と読むこともあります。さらに「州」と「県」の違いはなに? という新たな疑問も出てきますね。
まず「国」=「国家」にとって必要な条件は、国民・領域・主権の3つ。ここから調べてみます。
「国民」って誰のこと?
その国に住んでいれば「国民」というわけではなく、その国の「国籍」を持つ人を「国民」と言います。国籍とは、国家がその人を国民として認めた資格のこと。
じゃあ、どうしたら「国籍」がもらえるのか? となりますね。日本の場合は「国籍法」という法律で決められています。
第二条 子は、次の場合には、日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。
お父さんかお母さんが日本人だと子どもは日本国籍。これは簡単ですね。こういうのを「血統主義」というそうです。
次はちょっとわかりにくいですね。
(例)夫ケニーさんと妻ナンシーさんのあいだに子どもができました。ケニーさんは元々アメリカ人でしたが、日本に帰化して日本国籍となっています。ナンシーさんはカナダ国籍のままです。
子どもが生まれる前にケニーさんは急死してしまいました。その後ナンシーさんはフレディーくんを産みました。この場合、フレディーくんは日本国籍になります。
3つめは、日本国内で発見された捨て子は自動的に日本国籍となります。また、両親が無国籍者でも日本で生まれた子どもには日本国籍が与えられます。
ふつーに日本で生まれ育っていると無国籍者なんてピンときませんが、世界じゅうには400万人とも1000万人ともいわれる無国籍者がいるそうです。
第三条 父又は母が認知した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。
第3条は不倫とか内縁関係のときによくあるケースですね。
(例)日本人男性の一太郎さんは、イギリス人女性のメアリーさんと交際していました。一太郎さんには妻と子どもがいるので二人は不倫関係です。やがてメアリーさんは、一太郎さんの子ども百太郎くんを産みました。
この場合は、一太郎さんが百太郎くんを「認知」し、百太郎くんが18歳になるまでに法務局に届出をすれば百太郎くんは日本国籍となります。※民法改正で2022年からは18歳までに変更されました。
第四条 日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。
第4条は、外国人でも「帰化」すれば日本国籍がもらえるということです。手続きとしては法務局に届け出て法務大臣の許可を得ます。また、帰化するための条件は国籍法の第5条に規定されていますが、ここでは割愛します。
国の「領域」は、どこからどこまで?
「領域」は、国の土地(領土)、海(領海)、空(領空)のこと。
日本は海に囲まれているので日本列島全部が日本の領土だとわかりやすいけど、大陸だと国境線を引いて「ここからはウチの国」のように決めてますね。
「領海」は国の陸地から12海里(約22km)までを指します。領海からさらに200海里までは「排他的経済水域」といって、その国が漁業をしたり海底資源の権利をもちます。※1海里=1852メートル
「領空」は領土と領海の上の空のこと。じゃあ、どれくらいの高さまでが領空なのかが問題ですね。一応は「宇宙空間より下」となっていますが、地表からどれくらいの高さという統一された基準はないようです。
「主権」ってどんな権利?
「主権」とは国家が国を統治する権力のことで、簡単に言えば「これ以上にはない絶対的な権力」。具体的には次の3つを指します。
- 領土と国民を統治する権利(国内統治権)
- 他国から干渉・支配されない独立性(対外主権)
- 国の政治のあり方を最終的に決める権利(最高決定権)
統治権については「領土・国民を支配する権利」と書かれている説明も見られます。でも「支配する」というのは独裁者が好き勝手にやっているような不穏な響きがありますね。英語では「Rule」という単語に統治・支配どちらの意味もあるようです。
しかし「統治」には集団や社会の秩序を保つという意味が強いでしょうし、「支配」には「俺様の言うことを聞きやがれ!」という暴力的なニュアンスを感じますね。
「対外主権」は、自分の国のことは自分たちで決めるという権利。日本は近隣諸国からゴチャゴチャ難癖つけられることも多いですが、「ウルセーんだよ、ばかやろう!」くらいビシッと言ってほしいですね。
とは言え、実際には日本は戦争に負けてからアメリカに「支配」されたまま。とても「対外主権」が守られているとは言えない状態が続いています。
「最高決定権」は政治のあり方ですが、これは「国民主権」と不可分です。
日本国憲法の前文には「主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」とあり、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」と続きます。
つまり、日本では国民が最高権力者なんだけれど、全員で話し合ってもまとまらないから代表者を選んで権利を預けましょう。そのメリットは国民が受け取ります。ということのようです。
これも実態とはかけ離れていますね。国会議員こそがメリットを享受しまくって、国民は不利益ばっかり押しつけられてますからね。
都道府県の違いを調べてみた
「47都道府県」と見聞きする機会が多いとおり、日本は47の自治体に分かれています。でも、都道府県それぞれの違いってなに? と疑問に思うことって、あまりないんじゃないでしょうか? ぼくもいい歳になるまで気にしていなかったんで、今さらながら調べてみました。
まず「都道府県」は市町村を包括する単位を指します。現在の日本には1つの都と1つの道、2つの府、43の県があります。
元々、日本は3つの「府」の他にたくさんの「藩」がありました。「府」は江戸幕府が治めていた土地を明治政府が引き継いだもので、京都府、大阪府、東京府の3府がありました。その後、戦時中の昭和18年(1943年)に東京府と東京市が合併して東京都になります。
江戸時代までの日本各地はたくさんの「殿様」が治める「藩」に分かれており、明治元年(1868年)の「廃藩置県」で「藩」は「県」に改められます。ちなみに、江戸時代には「藩」という呼び方はなかったとも言われています。
そして「道」といえば、ぼくの住む北海道。かつては「蝦夷地」と呼ばれていた土地で、「松前藩」が治めていました。そこを明治2年(1869年)に「北海道」と名づけて、本格的に開拓することになります。北海「道」と言っても、行政主体としては「県」と変わりません。
州と県の違い
日本には「州」という行政単位はありませんが、「州」を採る国にはアメリカやカナダ、オーストラリア、ロシアなどがあります。
県と州の違いは、主に権限の強さです。
日本の県は土地を区切って、それぞれの行政機関に自治を行わせているだけ。学校でいえば1組、2組と生徒を分けて統治しているようなもの。クラスごとに分かれていても、生徒は同じ校則に縛られていますから、「うちのクラスは私服で頭髪の色も自由だぜ」というわけにはいきません。しかし、アメリカなどの州では州ごとに憲法があったり、州独自の軍隊をもつところもあります。
このように、権限の大きさがまるで違うのが県と州の違いです。
日本語で「州」は「くに」という意味もありますが、土地とか地域といった意味合いです。「おれの州じゃ」というような使い方ですね。
これだけ調べるのも、けっこう疲れた。なんかもっと、スパッとわかりやすく説明してくれる情報源ってないですかね。
今回はこれまで。したっけ!