【レビュー】映画「ひまわり」ロシア・ウクライナ紛争の今、あらためて評価される作品

映画・ドラマレビュー
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作品概要

制作・公開:1970年
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
出演:ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、リュドミラ・サベーリエワ

2022年2月ロシアによるウクライナ侵攻で再び注目されているのが1970年の映画『ひまわり』です。映画は観たことがなくても、ヘンリー・マンシーニによる物悲しいテーマ曲はどこかで聴いたことがある人も多いでしょう。

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あらすじ

第二次世界大戦中のイタリアで結ばれたアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)とジョバンナ(ソフィア・ローレン)は12日間の結婚休暇を満喫するが、幸せな日々はあっという間に終わろうとしていた。アントニオは出征を逃れるために気が狂ったふりをして精神病院に入れられるが、仮病がバレてしまい、懲罰として過酷なロシア戦線に送られてしまう。

戦争が終わってもアントニオは帰ってこなかった。ジョバンナはアントニオを探し求めて一人ソビエトに渡り、ようやくアントニオの住む家を見つけた。しかし、そこには彼の新しい妻マーシャ(リュドミラ・サベーリエワ)と、二人のあいだにできた幼い娘がいた。駅でアントニオと再会したジョバンナは、走り出した汽車に飛び乗りイタリアへ帰る。

感想・考察

一度は終わったはずの惨劇が、50年を経て繰り返される悲劇

この映画はタイトルにもなっているウクライナの広大なひまわり畑が印象的なシーンのひとつ。ジョバンナを案内した男が言います。

「ひまわりやどの木の下にも麦畑にもイタリア兵やロシアの捕虜が埋まっています。そして無数のロシア農民、老人、女、子ども」

このままロシアとウクライナの紛争が長引けば、また新たな犠牲者が増えることになりそうです。

しかし、ジョバンナの行動力には鬼気迫るものがあります。生死がハッキリしないと言うイタリアの役人を厳しく問い詰め、ついに一人でソビエトまで乗り込んでいく。このアクティブさは日本の女性にはないかもしれません。日本の女性なら夫が戦地から帰ってくるのを、じっと待っているでしょうね。

さらにジョバンナはロシアで見かけた男性を「あなたイタリア人ね」と見破り、少しでもアントニオの手がかりを得ようと執拗に付きまとうバイタリティーも、今なら逆ストーカー扱いされそうです。

そして、ひまわり畑の他に印象的なのが駅と汽車。

最初は出征するアントニオを見送った駅。二度目はロシアでアントニオと再会した駅。そして三度目はジョバンナに会いに帰国したアントニオが再びロシアへ向かう最初と同じ駅。

互いに愛し合いながら、戦争という悲劇によって人生を狂わされた男女の人生が辛く悲しい。今もジョバンナとアントニオのように紛争によって運命を狂わされた人々が、ロシアにもウクライナにもいると思うと、1日も早く紛争が終結することを願うばかりです。

画像はウクライナではなく、北海道北竜町のひまわり畑です。