映画『サイコ』感想・レビュー(ネタバレあり)

サスペンス・ホラー
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作品概要

映画『サイコ』は1960年に公開されたアルフレッド・ヒッチコック監督によるスリラー作品。

主演のジャネット・リーは第18回ゴールデングローブ賞 助演女優賞、ヒッチコック監督は全米監督協会賞を受賞。その他に今作は、第33回アカデミー賞で4部門にノミネートされました。

  • 配給: パラマウント映画
  • 公開:1960年6月16日(日本は同年9月4日)
  • 上映時間:109分

主なキャスト

  • ノーマン:アンソニー・パーキンス
  • マリオン:ジャネット・リー
  • ライラ(マリオンの妹):ヴェラ・マイルズ
  • サム(マリオンの恋人):ジョン・ギャヴィン
  • アーボガスト(私立探偵):マーティン・バルサム
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あらすじ

アリゾナ州の不動産会社に勤めるマリオンは、顧客から住宅の購入代金として預かった4万ドルを横領し自動車で逃亡する。土砂降りの中で見つけたモーテルは若くて愛想のいいオーナーが親切だが、マリオンはシャワーを浴びているとき何者かによって刺殺されてしまう。

ライラとサムは私立探偵のアーボガストから連絡を受け、マリオンの泊まったモーテルを訪ねてみるが、そこにはマリオンもアーボガストの姿もなかった。

今となっては取り立てて称賛するほどの作品ではないけれど

アルフレッド・ヒッチコック監督といえば、ある程度の年代層ならとくに映画好きでなくても名の知られた大御所監督。それだけにヒッチコック作品には熱烈なファンが多く、じつに深い考察を聞かせてくれることも珍しくありません。

しかしサイコな事件が頻発する今どきは、現実世界のほうが遥かに恐ろしいとしか思えませんでした。

主人公のノーマンは厳格な母親に束縛されて育ちますが、母の死後は自分の中に母の人格を作り上げて二重人格者となります。これがタイトルの「サイコ」 = 精神異常者の由来ですが、ノーマンだけでなく主な登場人物みんな、ちょっとおかしな連中ばかりです。

まずマリオンは顧客から預かった4万ドルを持ち逃げするという、ちょっとふつうじゃ考えられないほどの短絡さ。逃亡中に警官に付け回されると、その警官の前で車を買い換えるのも理解できません。意味ねーじゃん?

その警官も仕事とはいえ、執拗にマリオンのあとを追い回します。そんなに疑うならちゃんと事情聴取すればいいのに。

私立探偵のアーボガストもイラッとするキャラです。探偵と言っても、たかが民間人の分際で、警察のように根掘り葉掘りノーマンに尋問します。正直、ノーマンじゃなくても、こいつは○したいと思うくらいムカつくキャラです。

そしてマリオンを探しに来た妹のライラ。さすがに姉妹だけあって、彼女もまともじゃありません。いくら姉を探すためとはいえ、勝手に他人の住居に不法侵入する大胆さ。美人だけど強烈に意志の強そうな顔立ちは、おばさんになったら絶対に鬼嫁になるタイプです。

この作品が名作と言われるのは理解できます。たしかに当時では斬新なテーマやアングルだったでしょう。

しかし時間というフィルターに通されていくうち、少しずつ当時の輝きが失われてしまったように思います。

とはいえ、「教養」としてヒッチコック作品を観ておくなら今作はお手頃です。もし誰かと映画の話になったとき、訳知り顔でヒッチコックについて語られたら、「ま、当時としては斬新だったんだろうね」とマウントを取り返すこともできるかもしれません。